2014年10月4日土曜日

「怪談・奇談」ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) (講談社学術文庫)



 彼の著作を翻訳したものは何冊かあり、今回はその中から「講談社学術文庫『怪談・奇談』平川祐弘編」、「角川文庫『怪談・奇談』田代三千稔訳」、「角川ソフィア文庫『新編・日本の怪談』池田雅之編訳」の三冊を読んでみました。


 訳出された年代も関係していると思いますけども、「角川文庫『怪談・奇談』田代三千稔訳」は言葉遣いがやや古く、もしかすると読みにくく感じる人もいるかもしれません。収録話数や翻訳の質的なバランスは、「講談社学術文庫『怪談・奇談』平川祐弘編」が優れています。「角川ソフィア文庫『新編・日本の怪談』池田雅之編訳」は、三冊の中で最も新しいもので、訳文の言葉遣いはやや年少者向けになっています。


 私個人としては角川ソフィア文庫のものが一番のお気に入りです。年少者向けの言葉遣いがやや幼稚に思えるものの、訳出の適切さは優れていますし、収録話数もハーン作品の面白さを伝えるには十分かと思います。こちらを読んでみてハーン作品に興味が湧いたなら、講談社学術文庫の分を追加で読んでみるくらいでいいのではないでしょうか。


 さて内容について書く前に、ラフカディオ・ハーンを知らない人のために簡単に説明をしておきます。ラフカディオ・ハーン、日本名「小泉八雲」という、当時イギリス領であったギリシャ出身の作家です。

 日本人に馴染みの深い怪談「耳なし芳一」「雪女」「むじな」「ろくろ首」が、彼の作品だと知らない人も多いのではないでしょうか。「むじな」に至っては、その題名だけでは何の話か分からない人もいるかもしれません。のっぺらぼうの話だと言えば、あぁと思い出してもらえるでしょうか。

 彼の作品は英語で書かれ、日本で出版する機会がある度に翻訳する必要があります。このことが彼の作品群が新鮮さを失わない秘密の一つかもしれません。彼の作品が時代を超えて新鮮さを保つことができるのは、常に訳出される時代の言葉で翻訳されるためではないでしょうか。古典であって、古典ではありえないのです。

 不条理、理不尽な話もあれば、仏教的な輪廻や儒教的な思想が支配する話もあり、そこから日本人の根っこにあるものが垣間見えてきます。異邦人の彼だったからこそ着目できた日本独特の一面は、日本人のものの考え方や感じ方、特に本作品は怪談ですので、どういった事象を怖いと感じるかなどを、私たちに再確認させてくれます。
 大人の方に日本の代表的な昔話として、是非今一度読んでもらいたい作品です。
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