2013年11月11日月曜日

「骸の爪」道尾秀介 (幻冬舎文庫)


あらすじ
福島の事件から十ヶ月が過ぎていた。
売れないホラー小説家の道尾は、取材のために訪れた仏像の工房・瑞祥房に泊まった夜、またも奇怪な体験をした。

闇の中で笑う千手観音像、額から真っ赤な血を流す鴉枢沙摩(うずさま)明王像、マリ……マリ……と真っ暗な庭に響く低い声、部屋に戻って布団に潜り込めば、周囲を仏像が這いずり回るような音。

そして何事もなかったかのような翌朝、仏師が一人行方不明となっていた。

東京に戻った道尾が「霊現象探求所」の旧友・真備庄介を訪れ、事の次第を話したところ、今度は真備庄介、その助手の北見凛、そして道尾の三人で瑞祥房を再度訪れ、奇怪な体験が果たして霊現象だったのか調査する運びとなった。

 まず表題の「骸(むくろ)」が「もぐら」の方言という点で、まずタイトルにするべきなんだろうか、などと思ってしまいました。

 全体的に読みやすくて悪くはないと思うんですけど、前回の「背の目」の時に比べて今回は真備がすんなりと腰を上げたのが納得しかねます。
 たとえば血の涙を流す聖母マリア像の話も出てきますが、この手の話は霊云々の話ではなく奇跡や怪奇現象と呼ばれるものです。本来なら真備は見向きもしないネタの筈です。


 彼は霊というものが本当にあるのなら亡き妻にもう一度会いたい、そういう理由で霊現象探求を始めたはずです。そのために霊の存在を確認できそうな事件の蒐集を始めたのに、今回の事件はおよそそういう霊的な現象とは呼べないと思うのです。

 何せ相手は仏。仏像です。人の怨念のようなものが仏像に憑依した可能性でも考慮したのでしょうか。どうせ憑依するなら、いや憑依することが可能なら仏像ではなく恨みのある本人に憑依した方がいろいろできそうな気もしますけども。

 内容が面白いかどうか、これは読む人次第になるので何とも言えませんが、伏線の張り方や回収といった技術的な面は評価できると思います。
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