2012年12月22日土曜日

「巷説百物語」京極夏彦 (角川文庫)


あらすじ
怪異譚を蒐集するために諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、
雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。
御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧――。
長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが……。
(角川文庫「巷説百物語」裏表紙から引用)

 坊主頭を白木綿で行者包みにした、修験者か巡礼者のような姿をした御行の又市は、甘言を弄して他人を謀るという意味の「小股潜り」の二つ名を取る男です。すなわち口から出まかせのインチキ霊能者の類がイメージとしては近いのではないかと思います。

 この又市が金で雇われ、法で裁けぬ悪人を懲らしめるといったような筋です。テレビの「必殺仕事人」みたいですが、基本的に又市一味は殺陣を見せることはありません。
 ではどうやって懲らしめるのか?
 それは「百物語」に出てくる妖怪の力を借りて、懲らしめるのです。未読の方は本当に妖怪が出てくる小説と思われるかもしれませんね。まぁ、どのように妖怪の力を借りているのかは実際に読んでもらうよりないかと思いますので、これ以上は控えさせて頂きます。


 京極夏彦氏と言えば、古書肆兼陰陽師の中禅寺秋彦が登場する「百鬼夜行シリーズ」が有名ですが、この「百物語シリーズ」と「百鬼夜行シリーズ」はある意味で対になるかと思います。
 「百鬼夜行シリーズ」で中禅寺秋彦が行うのは憑きもの落しですが、「百物語シリーズ」で御行の又市が行うのはその逆で、悪人に妖怪を取り憑かせ恐怖させるという手口なのです。結果、悪人が死ぬことになったとしても、それは妖怪の仕業としてしまう訳ですね。

 短編7話なので、あまり大掛かりな仕掛けは期待できませんが、京極夏彦の小説は本が分厚くて苦手という方にはちょうどいいかと思います。
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