2012年3月25日日曜日

「OUT」桐野夏生 (講談社文庫)



 推理小説だと思って読んでたら、違ってました。
 文庫本だと裏表紙に内容のあらすじが書いてたりしますよね。下巻の裏表紙には「クライムノベルの金字塔」という説明の文言が。

 ミステリーじゃねえのかよっ (ノ ̄Д ̄)ノ彡┻┻

 「このミステリーがすごい!」'97年、年間アンケート国内1位、翌年日本推理作家協会賞受賞という触れ込みを見て、油断してました。

 とりあえずよかった点を挙げると登場人物の書き分けがきっちりできてて、いわゆるキャラが立ってる小説だと思いました。現実には「邦子」タイプの人が一番割合的には多そうな気がするなぁ。


 本作が何か思想的なテーマを持っていたのかどうか私にはわかりかねます。そしてタイトルの「OUT」が指すものが一体何なのか、私にはわからないです。

 社会の底辺の人を描きたいのかなぁとも思ったりもするのですが、底辺を表すのであればその対の頂点となる人々が描けていない。その結果、仮に主人公たちが底辺として考えた時に、経済的な意味なのか文化的な意味なのか職業としてのなのか、どういう基準での底辺であるのか、ということがわかりにくい。
 同時に底辺であると仮定した時、底辺であればある基準において数的最多のカテゴリーということなのだから、それに類する他のものが挙げられなければ、その仮定は私としては受け入れがたい。

 話の筋としては、警察という組織が「佐竹」を動かし、主人公たちに近づけるためだけのストーリー上の装置としてしか機能していない点が、すごく残念な気がしました。どうせなら警察を絡めない完全犯罪の形で、佐竹と主人公たちを絡めることができていれば、より「クライムノベル」としてのスリルを読み手に与えられたような気がします。
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