2011年12月19日月曜日

「燃えよ剣」司馬遼太郎 (新潮文庫)



私のPCでは何故か「もえよ」を漢字にしようとすると「萌えよ」と優先的に変換されます。
そんなことはどうでもいいんですけども、また古典というか名作と言われる作品を読み終えてしまいました。
この感想文、本当に難しいなぁ。

歴史小説とか伝記小説は嫌いじゃないんですけどもね。
ただ私は新撰組とかよくわかんないし、土方歳三とか近藤勇とか言われても何か悪者のイメージしかなかったんですよね。

実際に蓋を開けてみれば、江戸から明治への混沌とした日本を皆その人なりに駆け抜けた記録という感じでした。
混沌としてるので正義も悪も関係なかったんですね。
時代劇なら、水戸黄門だとか暴れん坊将軍だとか分かりやすい勧善懲悪のお話なんでしょうけど、そうじゃないんですよね。


こういう歴史小説や伝記小説では、どの人物の生き方に共感できたかとか、その辺がポイントになるんでしょう。
土方歳三。戦以外のことはまるで不器用。
生き方も同様に不器用な人物として描かれていたように思われます。
戦い、そして勝つことだけが目的であり、特に信念に生きたとかじゃないんですよね。

時代の流れと彼を取り巻く境遇からたまたま幕府側の兵となったけども、これが逆の側にいたとしても彼の場合は何もおかしくはなかったんだろうなあ。
それは彼の目的が戦い、勝つことだったからですね。

でもなぁ。
ロマンというか何というか、私が歴史小説や伝記に求めるようなものは、今回は見受けられなかったな。
そういう意味では同じ幕末物では海音寺潮五郎著「西郷と大久保」の方が好きだったかもです。


2011年11月2日水曜日

「死にぞこないの青」乙一 (幻冬舎文庫)



故意的なものなのか、書き手の素の技術的なものなのか分かりかねますが、語り手の少年らしさ、初々しさを感じさせる表現力が凄いと思ってしまいました。

些細なことで、学校内で先生を中心にいじめられるようになる主人公。
彼を責められる人っているんでしょうか。
いじめなんていじめられる方がちゃんと強く抵抗すれば、なんて言う人もいるようですけど、こういういじめの問題って個性とかその人の性格を無視して一般論として論じるのは、全く意味がないと思うんですよね。
抵抗できるような性格だったら最初からいじめられてないだろう、みたいな。

そして主人公の性格・個性から出来上がってしまう閉塞感。
誰も助けてくれないという絶望。
最終的には奇怪な少年「アオ」と関わる内に、主人公が自ら脱出することになるのですがね。


とにかくこの話に出てくる、胸糞悪い先生みたいな人間っていなくならないと思うんですよね。
いなくならないということは、つまりいじめもなくならないってことになるのですが。
ここ最近はテレビのニュースで取り上げられなくなりましたけど、いじめ問題っていまだにあると思うんですよ。
ただニュースにされず、忘れ去られてるだけで。

この作品は、なぜいじめが生まれるのか、そしてその被害者へ励ましのエールを送っている、そんな小説のように私には感じられました。
良作だと思います。


2011年10月26日水曜日

「江戸川乱歩傑作選」江戸川乱歩 (新潮文庫)



いわゆる古典ってのになるんでしょうか。
こういうのって評価難しいですよね。
もうすでに古典としてある程度の評価受けてる訳ですから。

個人的には明智小五郎の登場する話が読めただけで十分かなぁ、とか思ってますです。
いわゆる名探偵という肩書きの人物ですが、意外と平凡と言うか並々ならぬ才能の持ち主という訳でもなく、どちらかというと地道に努力して現場を調べるタイプの探偵さんだったんですね。


最近の、超人的な閃きであったり特殊な能力での安易な解決だったりしないところが、個人的には好感持てました。
振り返ってみて、今まで自分が好感持てた主人公って得てしてこういうタイプだったかも。
確かに特殊な能力とかで事件解決とか悪者やっつける主人公ってカッコイイんですけどね~。
この辺りは個人の好みなんでしょうね。


2011年9月13日火曜日

「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉 (小学館文庫)



久し振りに軽めでサクサク読めて面白い小説でした。
個人的には、しばしば出てくるお嬢様である主人公のお嬢様らしからぬ台詞が好きでしたね。
「○○だっつーの!」とか「××でしょーが!」とか(笑)

本書の帯で目にする、執事の無礼な台詞「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」とかももちろん面白いのですが、やはりその後に続く感情的になったお嬢様の反応が一番好きかな。
基本的に短編で全六話。一話あたり40ページほど。
推理小説って難しそうとか、分厚い本を見るだけで頭が痛くなるという方でも、これは読みやすいと思いますよ。


推理の内容的な部分に関しては多少クレームがあるかもしれませんが、解答に辿り着くための材料は一応ちゃんと配置されていたりします。
ただこの作品に関しては謎解きそのものよりも、登場人物たちのコメディのような絡みの方が魅力的だと思います。
だからこそ10月からテレビドラマ化されることになったのかもですね~。


2011年9月10日土曜日

「難民探偵」西尾維新 (講談社文庫)



タイトルに釣られたクマー(´・ω・`)
思わずそんな感想が出てしまいました。
タイトルは面白そうだったんだけどなぁ。
とりあえず読みにくい。
読みにくさの原因が何なのかは分かってるんですけど、これってわざとなのかなぁ。

トリックと言うか最後の謎解き部分は悪くないと思います。
個人的には、内側から閉める鍵をどうやって閉めたのかの説明は欲しかったところですが。

主人公(?)の女の子は、話の展開上、別に就職浪人である必要性とかは全くなさげ。
この辺にそんなにページ数割かなくてもいいじゃん。


事件絡みの話が動き始めるのが半分以上読み進めてからということで、前半はかなり苦痛でした。
あとこの方の「クビキリサイクル」も読みましたが、どうも端的に表現するのを嫌っているのか、絵画で言うと印象派のような、ぼやかしつつ全体像を作っていくような感じなんですよね。
自分なりの表現の切り口となる言葉でスパスパ伝えてもらう方が、私は好きかなぁ。